| 元Forza(担)'s profileForza Motorsport 2 ブログ改め...PhotosBlogLists | Help |
|
|
3/11/2007 Forza Motorsport 2: AI(人工知能)テクノロジーの活用Turn 10 ゲームディレクター Dan Greenawalt が語るゲームのAIについて
どんなレースゲームの話を訊いても、AI(Artifical Intelligence=人工知能・・・日本では”CPU”などとも言いますが)の進化については必ず語られています。でも、過去10年の進化を見てもらえればわかるとおり、グラフィックやサウンドの進化と比較すると、とても同じくらいの進化をしているようには見えません。これは誰にとっても意外な事実というわけではないし、真実を聞いたとしても驚くことではないかもしれません。グラフィックやサウンドはハードウェアのパワーや新しい技術によって明らかな進化をすることができます。そして、ハードウェアは常に進化し続けてくれます。一方AIはハードウェアへの依存が低く、それよりはそのアプローチ・思想などに依るところが大きいです。また、最先端のAI技術は主にゲームから遠いところ・・・たとえばロボットや検索エンジンなどで活躍しています。AIというのはエンターテイメント分野よりは、学術的な分野で語られることが多いものです。今回はTurn 10 のゲームディレクター、Dan GreenawaltにForza 2のAIがどう活用されているのか、そして、それがレースゲームにおけるAIの新しい基準になるかを詳細に語ってもらいます。
Q: 初代Xbox用のForza Motorsportでは、”Drivatar”と名付けた当時とても野心的な技術をゲームに盛り込んでいましたが、でも現実は理想的なゲームプレイにはまだ足りない部分がありましたよね・・・
Dan Greenawalt: 私は長いことレースゲームの開発に携わってきて、多数のレースゲームの開発を世界各国の数社のデベロッパーと共に開発しリリースしてきました。初代Forzaでは、ゲームのAI技術に対する革新的なアプローチをとることができたと自負しています。ただ、それは完璧だったとは全く思っていません。Forza 1 の AI の限界はAIが時代遅れのものだったわけではなく、新しいアプローチによるAIシステムをまだコントロールしきれなかったからでした。一方で、従来の手段では完全に限界に来ていた進化を、このアプローチによってまだまだ大幅に進化させることができるようになったのです。
![]() Q: これまでのレースゲーム、つまり旧来のアプローチによるAIというのはどういう動きをしているのでしょう? Dan: 多くのレースゲームでは、AIは、プレイヤーが操作する車とは異なる挙動(物理)のパラーメータで動いています。AIのライバルカーは、ライバルというよりはまるで「ロケットエンジンを載せたショッピングカート」、他車を無視してひたすら目的のラインを追いかける走りです。しかも、AIカーのグリップ能力や慣性はプレイヤーの車よりも高く、エンジンパワーとギア比だけで計算された駆動力がそのままボディーまたはタイヤの推進力として使用されます。サスペンションの動きや車体のロールはプレイヤーの車と同じ計算がされているけれども、グリップ能力までは同様に計算する必要はないのです。この方法には大きなメリットがあります-処理の負荷が低く、動きも予測しやすいしその分調整もしやすい、プレイヤーの能力に合わせることもできるのです。逆にこのアプローチにはもちろんデメリットがあって、AIはハンドル操作や限界挙動が非常に不自然になるし、AIがプレイヤーに体当たりしてくることもあるけれど、自分自身はへっちゃら。そして、AIは本来遅い部分なのに速く走ってしまい、本来速く走れる部分が遅かったりするのです。
Q: では、Forza 1でとったレースゲームのAIの新しいアプローチはどんなものなんですか? Dan: Forza Motorsport では、Drivatar テクノロジーを使って、AIのライバルカーはプレイヤーの車とまったく同じ挙動演算で走ってます。一切ズルはしていないのです。Drivatar テクノロジーは英国ケンブリッジにあるMicrosoft Researchという研究機関で開発されています。マイクロソフトのように大きな会社では、こういう多岐に渡った技術が培われているのが大きなメリットで、ほかのゲーム開発会社ではそうはいかないでしょう。このAIテクノロジーは、もともとForzaとは程遠い、ロボット工学や検索処理などの目的で開発がスタートしていました。その開発チームが熱狂的なF1レースのファンであったこともあり、レース用の技術開発を行うことになったのです。もともと彼らの研究用のベースとしてTurn 10にコンタクトしてきました。私たちはすでにチーム内でシミュレーションのエンジンとグラフィックの描画エンジンを作っていて、AIの設計のためにロボット工学の専門家をチームに招き入れたところでした。そこで、彼はケンブリッジの研究機関と共同してDrivatar をゲームに組み込みました。そのコードがうまくゲームの中で動作するようになった結果、それはとても素晴らしく、斬新でしかもちょっと怖れるべきものでした。
Q: 恐れる?
Dan: DrivatarテクノロジーはBayesian学習システムで、レースのテクニックを観察・記憶して学んだ内容を様々な車やコースに適用できるように一般化します。さらにトレーニングを重ねていくと、より効率よく、最適化されていきます。つまり、人の走りを観察して学習することもできるし、ランダムな条件を与えて自動で何周もラップさせることで学習させることもできるのです。しかし、それはまた予測不可能で場合によっては悪いことも学んでしまいます。例えば、コーナーをショートカットしたり、クリッピングポイントの使い方の早い・遅いというクセ、またブレーキのチェックまで学んでしまうのです。とても斬新で面白いけれども、ゲームデザイナーとしては最悪の悪夢にもなりかねません。いろいろな意味で、それは旧来のAIシステムと比べると未発育の子供のようなもので、プログラミングするのではなく教育しなければいけないのです。
Q: Forza1では、どのようにしてAIを「教育」したんですか?
Dan: オリジナルのForzaでは、スケジュールの関係でその本領を知るために十分早い時期にプログラムに組み込むことはできませんでした。発売するタイミングに間に合うように辛うじて組み込むことができた状況です。結果、そのトレーニングは未熟な段階だったといえます。AIは未だに私たちでも首をかしげるような予期せぬ行動をすることもあります。攻撃的だったり、ためらいがちだったり。私たちはAIをとても速いドライバーにしあげることもできたけれど、良いトレーニングをしてあげれば、速いドライバーになることも承知していました。
発売したあとも学習できるようにすることをしばしば議論していました。プレイヤーのコミュニティーによって、AIをより賢くするのです。まだまだ可能性があります。でも実は、そのシステムの能力を完全に解放してしまうことをとても恐れていたんです。あまりにも速いドライバーに成長してしまったり、奇妙な行動をとってしまうことを恐れました。常に私の脳裏には、常にその能力を最大限に発揮してみたいという欲求もあったものの、その能力や技術を完全に把握するまでは待つ必要があったのです。 Q: じゃあ話をForza 2に戻しましょう。Forza2では、Drivatarの能力をどのように活用していて、ゲームデザインとバランスはどのように調整をとっているのですか?
Dan: Forza 2 では、Xbox 360用のAIとして非常に強力なチームを編成し、プログラムの見直しと再設計を行いました。今回は、最初からDrivatarを前提とした開発サイクルを構築していて、逐一様子を見ながら開発を進めています。去年1年で私たちも多くのことを学んだし、大量のバグも修正したし、大量のトレーニングも行いました。それでも、私たちの予期しない行動をとることもあります。まだそれは成長過程にあるのです。現在のところ、人間に例えるなら十代後半というところでしょうか。速いし、車もうまく乗りこなすし、コースもよく把握します。他の車との駆け引きも上手です。AIは、プレイヤーと同じ挙動計算をしている車を、ズルをせずにちゃんと運転しています。
![]() Q: 特にForza 2 になってAIが進化した部分というのはどのあたりでしょう? Dan: それは多数あるんだけど、特に注目してほしいところでは・・・
Q: AIを雇ってシングルプレイヤーのレースができるという話をしたけれど、それぞれに個性みたいなのはあるのですか?
Dan: はい。今回の新機能のなかでも注目してほしいのはDrivatarのパーソナリティ(個性)です。辛抱強いAIドライバー達があなたのキャリアモードのサポートしてくれます。それぞれに、固有のスキルレベルや積極性、リスクへの耐久性などが異なります。トップドライバーなら、コース全体で最速ラインをとらえますが、そうでないドライバーは不安定だし車の性能も引き出しきれません。一部のドライバーは追い越しに対してものすごく慎重だし、かと思えば他のドライバーならもう少しスペースがないと追い越しをしないのに、少しでも隙があるとブレーキングゾーンの内側のダートまでつかって飛び込んでいく(ファン・パブロ・モントーヤのような)ドライバーもいる。これによって、レースの間いろいろと面白い状況が生まれるようになります。速いけど控え目なドライバーは前方の遅い車につかえて、テクニックはないけどアグレッシブなドライバーが抜いていく、というようなことも発生するのです。また、ゲームの中でフィーチャーしている現実のレースドライバーについては、その傾向も教え込もうとしています。リプレイシーンだけみたら、本物のドライバーなのかシステムが捜査しているのかを判断するのは難しいでしょう。彼らはプロのレーサーとしてトレーニングされているので、とにかく速く、クセのようなものは部分的です。
Q: ゲームが発売されるまで、AIはひきつづきトレーニングが行われるわけだけど、これを読んでくれているみんなに追加で伝えたいことはある?
Dan: 現在、私たちの最大のチャレンジは(AIから見た)ゲームプレイヤー動きの推測です。Drivatarはプレイヤーの動きも見ていますが、現在のところまだプレイヤー、つまり人間の行動を予測するのはまだあまり上手ではありません。これは、ちょっとユーモラスな状況ですが、AIがプレイヤーに対してフラストレーションを受けているように見えるのです。論理的にはそうではないとわかっているのですが、どうしてもそういう風にしか見えないのです。全体のシステムを見ていると、催眠術にでもかけられているかのような感覚です。私たちは、デバッグ用のツールでAIが何を考えてドライブしているのかを知ることはできます。
でも、(”2001年宇宙の旅”の) HAL に起きたことが頭から離れません――仕事のしすぎで疲れていると、AIが背後からじっと自分のことを見つめているという妄想に囚われてしまいます。でも、本当にAIは見つめていて、学習しているのです・・・ 2/13/2007 フォースフィードバックを語る今週も2つの記事が一度に掲載されてましたので、分割して紹介しましょう。まずは、皆さん注目の「フォースフィードバック」の対応について。
リードデザイナーの Dan Greenawalt が詳細に語っています。
なぜレーシングシミュレーションにおいて、フォースフィードバックがそれほどまでに重要なのか?シミュレーションでも現実のドライビングでも、車のもつ性能を最大限引き出すためには、人間のもつ五感のすべてを駆使して車の状態を把握する必要があります。 現実世界では、膨大な情報から様々なコンディションを把握できます。たとえば、タイヤや風の音、ブレーキペダルの踏力、ステアリングから伝わるエンジンの振動など。もちろん、現実の世界では加速・減速、コーナーリングによるG(加速度)も感じることができます。そういった感覚を総動員して、車のコントロールに専念しなければいけません。そう、現実世界でも500馬力で車重わずか1トンのような車をコントロールするのは至難の業です。完全なシミュレーションの世界でもそれは同様。そのためには車の状態を知るための十分な情報がなければ、さらにそれは困難な物となるのです。 ![]() フォースフィードバックとは?
先月は Turn 10 ではマイクロソフトが発売する Wireless Racing Wheel に対応させるべく最終的なファインチューニングを行っていました。そこで知ることができたいくつかのポイントを紹介しましょう。 まず、何はともあれゲームのデザインの視点において、ハンドル&ペダルのコントローラーと通常のコントローラーは全くの別物です。コントローラーもアナログのトリガーやスティックはあるけれど、ユーザーの多くはデジタル的に操作してしいます。例えば、ハンドルを左右いっぱいに切る、アクセルやブレーキを、ベタ踏みする、しない。こんな操作を本物の車でやったらどんなことになるかは想像がつきますよね。 この操作をゲームの中でソフトな動きにするべく、どんなレースゲームでも、プレイヤーが「自然だ」と感じるようにする「調整」を行っています。これが、ハンドル&ペダルのコントローラーでは、まずこの「調整」を完全に取り去ります。これによって、ダイレクトにユーザーの操作が挙動に反映されるようになります。そこに、ハンドルを持つ手に伝わる振動とフォースフィードバックを加えることで、レースゲームとして理想的なインターフェースになるのです。 触覚的インターフェース ゲームではプレイヤーに横方向のGをそのままの状態で伝えることはできません。したがって、それを画面上での微妙な表現や、3次元のオーディオ処理、そしていくつかの触覚によるフィードバックで代用します。このうち触覚で感じる情報は主に低周波効果と、振動、フォースフィードバックによって伝えます。この記事で伝えたいもともとの主旨は、フォースフィードバックをどう活用しているかですが、その前に、低周波効果と振動についてもお話したいと思います。どちらもレースゲームにおいて非常に重要です。 低周波効果(Low Frequency Effects:LFE)例えばサブウーハーによる重低音も車の情報を知るための情報です。パワフルなサブウーハーなら部屋も振動するくらいで、ゲーム「体験」をレベルアップさせることができます。特にLFEは、"Butt Kicker"(※尻を蹴るという意味:椅子に仕込んで振動を体感させるシステム)のようなシステムを組み合わせると劇的な効果を生みます。ButtKicker は基本的にはサブウーハーを椅子に直接組み付けて椅子を振動させることによって、本当にLFEを感じとることができます。実際、Turn 10 のテストラボにあるシートにもButt Kickerが組み込まれていて、チェックに使用しています。もし、Forza 1 とButt Kickerを組み合わせて使うチャンスがあったら、そのシステムでコースの縁石を生んでみたり、160km/hで壁に激突したときの衝撃を感じてみて欲しい。ただ、残念ながら、Butt Kickerを使ってもフィードバックとしての効果は付加的で微妙な効果です。
コントローラーの振動もレーシングシミュレーターにとって、非常に重要です。車の挙動はサウンドによってもプレイヤーに伝えられているものの、実際にテストをしてみると、コントローラの振動のほうが微妙な動きをはっきりと把握できることがわかりました。弱い振動から強い振動、ゆっくりとした揺さぶるような振動から”ブー”という速い振動まで、プレイヤーは数百の段階の情報を認識することができるのです。Forza 2 では、微妙なエンジンの回転による振動、シフトチェンジ、タイヤのグリップ状態、もちろんクラッシュなどの情報も含めて、すべてを加味して、プレイヤーに振動として伝えます。特にタイヤが限界を超えた時も、振動の変化で知ることができるのは凄いでしょう?この触覚による情報は、ハンドルコントローラーが使えない時に、ゲーム中で車の限界を引き出すときには絶対に必要な情報といっても良いでしょう。
勝利のためのフォースフィードバック さて、それでは話をフォースフィードバック(FFB)に戻しましょう。FFB は、マイクロソフトの Wireless Racing Wheel を(電源に接続した状態で)使用すると機能します。他のPCやコンソール用の多くのホイールと同様です。ホイールにもよりますが、FFB は1つ以上のモーターがリアルタイムに強弱をつけて左右方向に回転することで生み出されます。また、プレイヤーの操作と逆方向に力をかけることでダンパーのような効果も生みます。これは従来のゴムバンドやスプリングでセンターに戻すだけのホイールとは全く違うシステムになっているのです。 Forza 2 でも触覚的な情報を伝える手段として FFB は非常に効果的に機能します。車の挙動を計算しているなかで、いくつかの重要な情報を FFB で伝えることができるのです。まず、アスファルト、縁石、芝生など路面の変化によるハンドルのトルク(重さ)の変化が挙げられます。FF(前輪駆動)の車のトルクステアも FFB で再現しています。とはいえ、FFB が最も効果的に情報を伝えてくれるのが、車のフロントタイヤの「アライニングトルク」の物理的なシミュレーションです。
![]() 車の挙動における用語では「アライニングトルク」は車のタイヤの取り付けの上下軸に対する回転する力で、分かりやすいようにショッピングカートの車輪で例で言えば、ショッピングカートを前に押し出した時に、その車輪がまっすぐ進むようにクルリと回ろうとする力のことです。もうちょっと詳しく言うと、カートを前に押し出すと、前輪とカート本体の取り付け部分を軸として、車輪が路面と接地している部分(接地面)が軸の後ろにくるように回転しようとします。軸を回るように接地面によってレバーのようにトルク(力)が生み出されるのです。 他のレバー同様、トルクの調節には2つ方法があります。1つは、レバーにかける力を調整すること。車のタイヤで言えば、接地面の摩擦抵抗の変化-例えば、タイヤ温度、空気圧、過重などです。もう1つは、レバーの長さを変えること。車のタイヤにおいては、キャスター角とタイヤ半径です。アライニングトルクは車のタイヤで言えば、接地面のスプリング効果についても影響を受けるのですが、これを説明するとさらに別の解説が必要になるのでここでは割愛します。
なぜアライニングトルクが必要なのか?
Forza 2 でアライニングトルクがなぜ重要なのか?それは、現実の車を運転するときに、皆さんの手がステアリングホイールか感じ取る力がアライニングトルクだからなのです。アライニングトルクは、ステアリングホイールを車の進行方向に沿うように回転させます。たとえば直進するときはセンターへ。オーバーステアやドリフト状態のときは、それを自動的に修正するような方向へアライニングトルクが働きます。アライニングトルクによって、アンダーステアの時のピークのタイヤグリップも探ることができます。基本的にはアライニングトルクによって、ドライバーがフロントタイヤの状態を知ることができるのです。 オーバーステアは通常リアタイヤの限界グリップを超えて、車の旋回角度が進行方向を上回った状態です。ドリフトもこの状態です。この状態を回復させる単純な方法は、進行方向にハンドルを切ることです。このテクニックが「カウンターステアリング」なのですが、この状態のとき、アライニングトルクが、進行方向に沿うようにステアリングホイールを回そうとします。これは、スライド状態から回復するカウンターステアを補助してくれる動きをするのです。 一方で、アンダーステアは通常、前輪が限界グリップを超えた時に発生します。この状態を回復するには、少しハンドルを戻してグリップを回復するまで待つしかありません。これは、ちょっと感覚的に違和感があるでしょう。この状況で、ドライバーは負の連鎖に陥ります。タイヤが限界グリップを超えていて、でも、もっと曲げたくてハンドルをさらに切る、あるいはブレーキを踏む。しかし、この操作によって、タイヤの車の進行方向を変えようとする力がますます減っていってしまいます。そして、最終的には曲がり切れずにコースアウトしてしまうのです。
このアンダーステアの状況では、アライニングトルクが突然軽くなり、現在アンダーステアの状態でハンドルを少し戻してグリップを回復しなければいけない、ということをドライバーに伝えてくれるのです。車の限界を引き出すのに非常に重要で、そのためにタイヤが限界すれすれのところで、グリップする・しないを探る必要があるのです。このトルクを感じとって、それに対応することで、タイヤのグリップをぎりぎりまで使えることができるようになります。コーナーを通じてギリギリのところでグリップを使い切ることで、速いコーナーリングが可能です。アンダーステアにおけるアライニングトルクの変化を FFB で再現しているゲームは非常に少ないです。現実の市販車を見ても、シビックからランサー、Enzo Ferrari や Porsche 911 まで、どんな車でもアンダーステアは発生します。これは、FFB において今まで見過ごされていた重要なポイントなのです。
アライニングトルクが FFB によって正確に再現されることで、アンダーステアもオーバーステアも、より素早くかつ正確に回復させることができます。ハンドルを切りすぎてラップタイムが大幅に落ち込むこともなくなります。ハンドルを使うことで、あなたの手に直接触覚的なフィードバックを与えてくれることで極めて直観的な操作ができるようになり、さらにゲームに熱中できるようなるはずです。Forza 2 で再現される挙動を、フィードバックとしてドライバーに伝え、それに合わせてハンドルを切るという双方向の会話が成り立つことよって、ドライビングはより易しくなります。多くのゲームではアライニングトルクはオーバーステアの時のみ再現されていて、アンダーステアを再現していたのは極く一部だったのです。
ハードウェアとソフトウェア
これまで、FFB のソフトウェアについての話をしてきました。私の経験では、FFB ホイールは全体のゲームの体験のあくまで一部です。レースゲームをホイールでプレイしているときに感じられる部分の多くは、ゲームのデザインとソフトウェアによって決定すると考えています。FFB がきちんとプログラムされていないと、どんなにいいホイールをつかっても、良く出来たゴムバンド式のハンドルコントローラのほうが操作しやすいことさえあります。振動機能のある通常のゲームコントローラーのほうが操作しやすいこともあるでしょう。FFB が正しくシミュレートされていないと、最高級の FFB ホイールに用意されている機能が、逆に車の情報をきちんと引き出せなくなってしまうということもあります。 例えば、アンダーステア時のアライニングトルクが FFB でシミュレーションされていなくて、ホイールが900度の回転ができるとします。でも、そのうち800度の回転は不正確か間違ったフィードバックを返すことになります。どの角度でアンダーステアになるのかが触覚で分からないと、あっという間にコースアウトしてしまいます。ほとんどのハンドルの操舵角で不正確な FFB しか返ってこないという状況なのです。
レスポンス もう一つ、良いフォースフィードバックには条件があります。ハードウェアとゲームを連携されることも難しいですが、さらに難題なのが、いかに高速に挙動計算エンジンにそれを計算させられるかです。レーシングゲームでも FFB がぎくしゃくしたり動きがつかえたりすることがよくあります。これは、ゲームからハンドルに送る情報の更新速度が遅いか、あるいは挙動計算の頻度が低いからという理由が多いようです。
一部のレースゲームでは毎秒60回の画面と同じ頻度で挙動を計算しています。60回というのは速く感じるかもしれませんが、こんな場合はどうでしょう?時速200km/hで走っていたとしましょう。そうすると、わずか1/60秒の間に車は1m近く移動しています。ご想像の通り、1mの間でも起きるときはいろいろなことが起きます。
例えば車が路面のちょっとした小さな突起、あるいは大きなギャップを超えるとき。この変化を挙動計算で処理しようとすると、おかしなことになり、場合によっては車が空を飛んでしまうことになるかもしれません。これに対処するにはいくつかの方法があります。ひとつはその間の路面の状態を平均化すること。しかし、そうすると”もっさり”した路面を走っているような結果になってしまいます。計算の頻度を上げて、より正確に挙動を計算することが、そのような問題を解決する最適な方法です。
この平均化した計算方法は明らかに不適切なのに、一部のレーシングゲームファンにおいては、この不適切な状態をアンダーステアや過重移動のリアルな表現と勘違いしてしまっているケースもあるようですね。
振動+フォースフィードバック=ハマれる! FFB とともに価値があるのが振動です。振動機能と FFB 機能が両方備わっているハンドルが理想的ですが、残念ながら一部のFFBホイールしか振動用のモーターは装備していないようです。その結果、ゲーム側で後輪のスリップやエンジンの振動、衝突の衝撃などをFFB を使って再現しなくてはいけません。優先度が高いのは前輪のアライニングトルクなのに、振動によって情報が歪められてしまうのです。理想的にはFFBに1つか2つのモーターを使用し、それとは別で2つの振動用のモーターを使っていれば、後輪のスリップやエンジンの振動とは別に、アライニングトルクをクリアな状態で感じることができるのです。
フィードバックが多ければ、よりリアルに いくつかフォースフィードバックの問題点に触れてみました。最後に、どうしてフォースフィードバックがレーシングシミュレーションにおいて、そんなに重要なのでしょうか?現実のレースは本当に人間の五感をフル稼働させています。フォースフィードバック(あるいは振動だけでも)を切るのは感覚の1つを失うようなものです。アンダーステアやオーバーステアのアライニングトルクの再現はフォースフィードバックの大きな価値です。振動機能が備わっていればさらに、理想的です。でもどんなに良いコントローラーでも、ソフトウェアがまずければその本当の価値を引き出すことはできません。 この記事で1つでも2つでも何か学んでもらえたら嬉しいです。私たちも今、まさに Forza 2 に合わせてフォースフィードバックを最適なものに仕上げています。 12/19/2006 Forza マルチスクリーン先週末は、シアトルは台風で大荒れの天気。広い範囲に渡って停電が発生して、週が明けた月曜日もまだ完全復旧には至っていないようです。なので、Forza 開発チームもちょっと影響をうけていたようですが、もうそろそろ、完全復旧するようで、まずは一安心。
さて、今週は、Forza のマルチスクリーン対応の仕事をしてる Aaron に突撃インタビュー。いろいろ面白い話が聞き出せてます。
Forza Motorsport 2 - マルチスクリーンのスタイル
(Interview with Turn 10 エンジニア Aaron Ogus) Aaron Ogus は、Turn 10 の Forza 2 ネットワークエンジニアとして、複数の Xbox 360 をリンクして通信させるシステムの構築を行っています。Aaron も、他の Forza 2 開発チームのメンバー同様、もとは別の Microsoft の部署から車好きが高じて移籍してきたエンジニアの一人。
![]() ※写真~Aaron(左)が、3画面の設定についてゲームディレクターの Dan(右)と話しているところ
初代の Forza での彼の仕事の一つはシステムリンク接続した3台の Xbox をつかって、3画面のパノラマビュー表示に対応させること。実際にできたそのゲーム環境は、特にハンドルコントローラーとシートを設置した環境で抜群のリアリティを発揮します。
そして2代目となる Forza 2 でも Xbox 360 での3画面表示に対応。ちょうど先週末に、その動作チェックをしていたら、チームメンバーがぞろぞろ集まってきて歓声をあげてたところです。ということで、今回はこのマルチスクリーンの威力と機能について紹介しましょう。 Q: Forza 2 の3画面対応の仕事をリードしてきた立場だと思うけど、その前に、なにか自分自身のことや、何かこの3画面の対応をしようと思い立った背景について教えてもらえる?
Aaron : 僕が本格的にレースを始めたのが1999年。その時は、SCCAのオレゴン地区で Formula Mazda でレースをしていたんだ。そのレース仲間の何人かが、セガの Ferrari F355 Challenge でレースの練習をしだしたんだよ。当時、F355 はベストなシミュレーターで、3画面を使ってドライバーに180度の視界で情報が入ってくるので、タイトなコーナーでも先が見えるし、ハンドルのフォースフィードバックも最高だったし、筺体もしっかりできている。さらには、F355 Challenge のデザイナーの鈴木裕氏が、大のフェラーリエンスージアストで、大量の F355 の実走によるテレメトリーデータをシミュレーションに反映させていたしね。
![]() Q: いや、本当に F355 は素晴らしいゲームだったよね。ゲート式のシフトレバーに、クラッチもあったしね。つまり、これが3画面対応の始まりってこと・・・
Aaron : そうだね。僕も冬のレースのオフシーズンに F355 Challenge で走り込んで自分の腕が鈍らないように練習したんだけど、そのおかげで、次の夏に Formula Mazda でオレゴン地区優勝を獲得。以来、僕はシミュレーターのことをみんなに宣伝するようになったんだ。さらに次の冬のオフシーズンには、ついに自分で F355 Challenge の筺体を購入してしまってね。今でも奥さんに反対に遭いながらも家に置いてあるよ。今ではそんなに使わなくなってしまったけど、時々プレイして、Forza をより良いゲームに仕上げるためのインスピレーションを見出すために使っているよ。
Q: 鈴木裕さんに会ったことはあるの?
Aaron : 一度、鈴木裕さんがシアトルに来ていた時にちょっとだけ会う機会があって、僕がレースで優勝するのに F355 Challenge がどれだけ役に立ったかを伝えたんだ。とっても喜んでくれたよ。そして、F355 Challenge で出来なかったことや、改善点について意見交換したりしたんだけど、僕が提案したことの多くは、やっぱり鈴木さんも考えていて、でも、当時はハードウェアの処理能力の限界でできなかったり、ゲームとしての遊びやすさを優先した結果だったりしたんだ。
Q: それで君の、その数々のアイデアが Forza にも・・・
Aaron : ある日を境に、僕はレースを辞めて、初代 Forza のネットワークエンジニアとしてチームに参加したんだ。僕はかなり長い間ネットワークのエンジニアリングに携わっていて、実際ゲームのピアツーピアのネットワーク処理はそれほど難しいものではなかった。だから、いろいろチャレンジできることを探していたんだ。Forza の開発においては、ネットワークのエンジニア以外に、実際のレース経験者としてのコンサルタント的な役割もしていたので、そこで、Forza で3画面のマルチスクリーンに対応させることを決めたんだ。多くのユーザーが楽しめるわけじゃないけど、ゲームの可能性をアピールするには最高だからね。結局3つのイベント会場でデモンストレーションをしたのかな?すごい注目度だったよ。
Q: そうそう、最初に Forza を E3 に出したとき、3画面でレーシングシートも付けてたよね。僕もすぐに F355 Challenge を思い出したよ。このシステムはどういう形で実現しているの?
Aaron : この3画面対応は Forza の対戦用ネットワーク処理にちょっと手を加えたものなんだ。左右それぞれの画面で、表示するときのカメラの角度や位置をスクリーンの位置に合わせて変更したを表示画面用のビューを用意して、その左右画面の表示をする複数の Xbox と完全な同期をとることで、ユーザーが違和感を感じないようにしている。正面の画面は、車のフロントウィンドウ、左右の画面は車の左右のウィンドウを見てる感じだね。自分の車以外も、当然左右のウィンドウに表示される。初代 Forza では、それぞれの Xbox がそれぞれピアツーピアのセッションでリンクされていたので、場合によっては表示のズレが発生していたんだけど、Forza 2 ではそれを改善して、メインの画面のほかに、まず1つマルチスクリーンのホストになる Xbox を設定して1対1でリンクする。そのマルチスクリーンのホストから残りの画面のリンクをとることで、そのようなズレもさらに改善しているよ。
Q: ちょっと待って。3台をネットワークでつないでいるだけだとすると、3画面をつかっていても、Xbox Live で Forza 2 を遊べるということ?もしかして、理論上6台の Xbox 360 を使って360度全方位のビューもできるってこと?
Aaron : そう、マルチスクリーンはいつでも使える、つまり Xbox Live につないでも。360度の表示は確かに可能だけど、前方180度と、後方180度だと価値がまるで違うから、後ろにあと1画面で十分じゃないかな。4台の Xbox 360 に、4台の画面。これで完璧でしょう?あと、ちょっとデータの話になるけど、3画面で 720p(D4)表示をしたとすると、画像のデータ量が毎秒600メガバイトにもなるんですよ。これは表示用データだけで、実際はもっともっと膨大なデータを処理してるんです。
Q: じゃあ、やるべきことを達成できたと思う?つまり、F355 Challenge を超えるゲームになったと思う?
Aaron : フォースフィードバックが Forza 2 で対応したから、シミュレーターに必要なすべての面で Ferrari F355 Challenge を超えるものに仕上がったと思っているよ。唯一、到達できていないのは全体のパッケージ、筺体だね。でも、どんな人でも基礎から学んで、プロフェッショナルなレーシングドライバーになれる下地は Forza でも提供できるようになったと思っているよ。Forza をプレイすれば誰でもプロレーサーになれる、って訳じゃないけど、きちんとレーサーとしてのトレーニングを受けて、Forza で練習をすればドライビングテクニックを大幅に向上させることができるはずだよ。Forza でいろいろなことを学んで、それを実際のレースで生かすことができれば、とっても安いコストでライバルに差をつけることができるよ。
|
|
|